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2010.03.26 Thought Leadership 企業内ソーシャルネットワーク

Social networks in the enterprise: Facebook for the Fortune 500

著者: デロイトリサーチ編著/トーマツTMTインダストリーグループ監訳

2009年は企業内ソーシャルネットワークにとって、突破口を開く年になる可能性が大きいように思われる。ソーシャルネットワークづくりに対するITプロバイダーや通信事業者の支出は内部、外部を合わせて5億ドルに達するものと見られる。ソーシャルネットワークは、IT支出が財務的に厳しくなる状況下で、費用のかからない一つの解決策と見なされるだろう(Mobile TV is not easy, EE Times India, 11 September 2008.)。

世界的にみれば、ソーシャルネットワークは昨年、訪問者を重複カウントしないユニークビジターの数が25%も増えた。一部のサイトは利用者が2倍に増えた(Orange is keen to follow O2’s handset subsidy cuts, Mobile Today, 7 August 2008.)。利用者を年齢別にみると、今や35歳以上も含まれるようになった。ソーシャルネットワークはもはや、高校生や大学生だけのものではない。利用者の約40%が35歳以上というネットワークもある(News Corp chief flags media job cuts, WA Today, 6 November 2008.)。

一般消費者向けのソーシャルネットワークについて、何億人という利用者からどう利益を上げられるのかという疑問が強まっている(Downturn to hit mobile spend, poll finds, Mobile Marketing, 30 October 2008.)。その一方で、企業の方は今、上下関係の壁の除去、情報シェアリング、チームづくりの道具として、ソーシャルネットワークをどう利用できるかを考えるようになっている。

大規模なIT企業は2009年、ソーシャルネットワークのアプリケーションに多額の研究・開発(R&D)費を支出することや、企業向けソーシャルネットワーク専門の研究センターを新たに建設することを計画し始めている(Pre-roll solutions, New Media Age, 23 October 2008.)。

企業内ソーシャルネットワーク(ESN)は、一般消費者がソーシャルネットワークで経験できる範囲をかなり超えるものとなる。例えば、ネットワーク上の同僚の知識も使って情報を発見・検索するソーシャルディスカバリーやソーシャルサーチ、さらにマイクロブログ、ビジュアライゼーション(情報視覚化)、クラウドコンピューティングといった、必要に応じて簡単に規模などが拡大できる新たなスケーラブル・アーキテクチャに基づくソーシャル・ソフトウェアなどがENSの機能には含まれるだろう。企業はまた、ネットワーク上の文書を書き換えらえるウィキ(Beijing Olympics draws 4.7 billion television viewers, Deutsche Presse-Agentur, 5 September 2008.)や複数の異なる技術やコンテンツを複合させるマッシュアップ(※)、オンライン会議、シンジケート方式のフィードなどWeb2.0のアプリケーションを使った別の形のESNを実験的に導入し始めている。そしてもちろん、ツールメーカーは、最新世代のコンテンツ管理ツールを提供することでESNを支援しようとしている(BBC’s mobile TV trial peaks at 580 viewers a day, New Media Age, 28 July 2008.)。

(※)For example, research suggests that 436,000 UK mobile phone subscribers watched the opening ceremony of the 2008 Beijing Olympics on their phones.See: Olympics boosts mobile TV, Mobile Marketing, 26 August 2008. However, the total number of UK mobile TV subscribers has fallen since 2006, when it peaked at around 450,000. See: Television is a turnoff for mobile users, The Guardian, 2 August 2007.

一部の大規模電気通信企業はすでに、ソーシャルネットワークの情報システムを自社内に展開し始めている。これら企業はまた、情報システム・テクノロジーを世界的なサービス提供の中に組み込み、これに大いに力を入れることを2009年計画に含めている(Ongoing fall in viewer retention overshadows 36% mobile TV growth, Tellabs, 12 February 2008.)。これら企業は帯域幅および情報システムを提供しており、ネットワーク上での転送により多くのビットが必要になるアプリケーションであれば、どのようなものでも歓迎するとともに、ESNを顧客に盛んに売り込んでいる(Based on: An EU Strategy for Mobile TV, Europa, 18 July 2008.)。無線通信事業者や他社ブランド製品を製造するメーカー(OEM)もまた、企業内ソーシャルネットワークには携帯端末を使う社員も加わることから、ESNツールに大きな将来性があると見ている(Telegent enables free mobile TV access, Total Telecom, 16 July 2008.)。

各国政府は2009年には、ESNツールを行政組織の内部および、管轄地域の住民との相互交流手段として、展開するよう求めるトップダウンの指示を実行に移すことになるだろう(In the United Kingdom, 50% of customers are happy with 8Mbit/s connections or slower. See: UK fat pipes sluggish from lack of fiber, Silicon.com,30 September 2008.)。政府がESNの潜在的利用者であるのは明らかだ。政府は規模が大きく、広域性を持ち、情報シェアリングへの関心が強いことから、ESNツールにぴったりの環境にある(Based on data from the GSM Association. )。ESNツール用の公衆保健アプリケーションというものまであるくらいだ(European Broadband Matrix Q3 2008, Merrill Lynch, 2 September 2008.)。これまで政府のIT部門はもともとの性質からして保守的だった。だが、(選挙キャンペーンでソーシャルネットワークをうまく活用した)新世代の政治家が公職に就くのに伴い、一部の部門は強制的にESNを導入させられるかもしれない。

2009年にESNは伸びるかもしれないが、たぶんそれは少数の先端的企業においてのみだろう。2009年中にどの程度導入が広がるかはまだはっきりしない。一部のコメンテーターは、一般の企業はまだソーシャルネットワークを展開しようとはしていないと主張する。だが、フォーチュン500企業のCEOはそうでないと考えている(For example, see: Intervention is bold, but has a basis in history, The New York Times, 13 October 2008; Is nationalization the answer to banks behaving badly, Financial Times, 13 October 2008; Portugal to nationalize local bank, Financial Times, 8 November 2008.)。

金額的にはまだまだ規模は小さいかもしれないが、2009年にはESNツールの爆発的増加があるに違いない。産業を引っ張るような企業での試験的導入や社内展開が大きく伸び、政府も先頭を切る影響力のある動きとして、ESNを採用していくだろう。幾つかのG20諸国の官庁では既にESNが使われている。

Bottom line

ソーシャルネットワークは強力なツールであり、人々の知恵を引き出す手段のように見える。だが、そうした情報システムの企業バージョンはまだ、改善の余地がある。IT部門は、それを使うことで生産性が向上するようなツールを開発していく必要がある。ENSへの投資への見返りをどう計るかは難しいし、ソーシャルネットワークを管理しなければならない企業側の立場とプライバシーを望む社員の立場をどうバランスさせるかも難しい問題だ。

その一方で、大半のESNの早期バージョンは安価で導入も簡単であり、社員教育もほとんど必要ないように見える。資金に余裕のない企業なら、比較的に安いコストで、既に社内に存在しながら、使われていなかった有用なものをすくい上げる一つの方法としてESNを見るに違いない。電気通信運営業者やIT情報システム企業は、ESNの導入がさらに広がり、もっと重要な収入源になり始める場合に備え、情報システムを展開できるだけの専門知識と信頼性を得られるようにESNに投資していく必要がある。

以上

※本稿は、『Technology Predictions 2009, TMT Trends テクノロジー』より抜粋したものです。


プレスリリース

2009.10.07 テクノロジー企業成長率ランキング 第7回「日本テクノロジー Fast50」発表

2009.12.11 テクノロジー企業成長率ランキング 第8回「アジア太平洋地域テクノロジー Fast500」発表

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