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2010.03.26 Thought Leadership WiFiラジオの夜明け

“Good morning, good afternoon and good evening listeners”: the dawn of WiFi radio

著者: デロイトリサーチ編著/トーマツTMTインダストリーグループ監訳

アナログ・ラジオは手強いライバルである。多くのメディアが徐々にデジタル化していく中で、アナログ・ラジオの地位は不動である。世界中に出回っているアナログ・ラジオの台数は25 億台に及ぶ(Radio is going digital, MSNBC, 12 March 2008.)。製造されるラジオの過半数がいまだにアナログ方式である。世界には4 万4,000 のラジオ局があるが、その圧倒的多数がアナログ放送を流している(Number of radio stations available from CIA Factbook, 20 November 2008:https://www.cia.gov/library/publications/the-world-factbook/fields/2013.html)。また、2009 年に製造される新車の大半にアナログ・ラジオが搭載されるとみられている。

ラジオもデジタルへの移行に努めてきた。世界中の国で地上波デジタル、デジタル衛星のラジオ・サービスが実施されているが、聴取者の点ではアナログと比べて見劣りがする。
ラジオはすでにインターネット上でもデジタル化している。実際、インターネットの初期のころからラジオ放送をネット上で聴くことができた。音響はほとんど帯域幅を必要としないため、ウェブとの相性がいい。ただし、オンラインのラジオ局は1 万局以上あるが(10,000 stations at your fingertips, Kold, 28 October 2008.)、従来型のラジオに比べて需要は小さい。

しかし、2009 年はインターネット・ラジオ、特にWiFi 装備の小型ラジオがオーディエンスと収入の点で本格離陸する可能性がある。インターネット・ラジオの潜在市場は、2009 年に20%拡大する可能性がある。これは世界のインターネット・ユーザーがほぼ15 億人、その3 分の2 がブロードバンド・アクセスであるとしての試算である(See:http://www.internetworldstats.com/stats.htm 、71 Strategy Analytics: worldwide broadband subscriptions top 400 million, Lightwave, 29 May 2008.)。さらに、仕事中にラジオを聴く人の多くがインターネット・ラジオの聴取者になっている(A desirable audience, Targetspot, 23 July 2008.)。

専用のインターネット・ラジオ受信機もさらに値下がりするとみられ、すでに小型のWiFi ラジオは2008 年末に100 ドル以下で買うことができた(Based on data from Amazon.com, 17 November 2008.)。それ以上に重要な12のは、インターネット・ラジオ受信機として使えるWiFi 装備のスマートフォンの設置台数が増えるとみられる点である(iRadio makes Internet radio possible on the iPhone,WiFi radio review, 27 November 2007; Music royalty fees like static for Internet radio, The Florida TimesUnion, 15 November 2008.)。

小売業者は2009 年、WiFi ラジオの販促活動を強化するだろう。このサービスは概ね加入料がいらないため、小売業者としては、加入料が必要な機器より売りやすいからである(Sanyo launches subscription free Internet radio, Sync, 17 November 2008.)。

しかし、インターネット・ラジオの普及を促す最大の要因は、このフォーマットが音響の3 つの柱を併せ持つ点だろう。3 つの柱とは、世界中のラジオ局にアクセスできるという地域を超えた広がり、世界中のオーディオ・アーカイブにアクセスできるという時間を超えた広がり、そしてリスナーが地元のラジオ局に愛着をもつことのできる継続性である。

2009 年は、この3 つの柱が使いやすい小型の機器に組み込こまれることで、インターネット・ラジオが一気に広がる可能性がある。一般的な家庭用ラジオ受信機に似ていながら、はるかに多くのことが可能になるからである。2009 年は、インターネット・ラジオがラジオという媒体を再活性化するだけではない。ラジオを一から作り変える年になるかもしれない。

Bottom line

放送局は、自分たちにとってインターネット・ラジオが戦略的に欠かせないものかどうかを判断し、欠かせないのであれば、どのようなコンテンツや番組表や機能が力を発揮できるのかを見極める必要がある。ネット版が今あるチャンネルの単なる複製であっては意味がない。放送局は、ネット上の情報を収集・整理・配信するコンテンツ・アグリゲータを通してチャンネルが広く利用できるようにし、コンテンツを中継するさまざまな機器、例えばパソコンやスタンドアロンのインターネット・ラジオ受信機、スマートフォン向けに、適切なフォーマット化を行う必要がある。

放送局はまた、インターネット・ラジオを通じて話し言葉のコンテンツを提供したいと考えるかもしれない。トークショーはすでにインターネット・ラジオでは人気を博しているうえ(Arbitron’s October PPM Survey Offers Insight on Internet Radio Audience, Targetspot, 12 November 2008.)、ロイヤルティ・フィーが変動しても放送局はその影響を受けないで済む(The Internet radio death watch, PC Magazine, 21 August 2008.)。

局の数が増加しているため、業界は検索と選択をしやすくすべきである。膨大な数の局から選べるようにするには、電子版の番組ガイドと推奨エンジンを組み合わせることが必要だろう。インターネット・ラジオのメーカーは、広告主にとってユーザー情報(情報全体であれ個々の情報であれ)がいかに有用かを考える必要がある。インターネット・ラジオは、13どの消費者がいつ、どの程度の頻度でどんな種類のコンテンツ・フォーマットを聴いているのかを正確にモニターできる潜在力を秘めている。地元の広告に貢献するためには、IP アドレスが示すリスナーの所在地が必要になるだろう。広告主は、インターネット・ラジオの成長をしっかり見ていくことがプラスになるだろう。ラジオの広告支出はこの数年、落ち込んでいるが、オンラインの支出は増加している。ラジオがオンライン・メディアとして定着していけば、強力なプラットフォームになるとみられる(For example, see: Deal creates largest ad network for Internet radio, The New York Times, 15 October 2008.)。

以上

※本稿は、『Media Predictions 2009, TMT Trends メディア』より抜粋したものです。


プレスリリース

2009.10.07 テクノロジー企業成長率ランキング 第7回「日本テクノロジー Fast50」発表

2009.12.11 テクノロジー企業成長率ランキング 第8回「アジア太平洋地域テクノロジー Fast500」発表

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